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その瞬間に、確かに在るもの

 


レコードに、針を落とす瞬間。
あの、ささやかな緊張を孕む、その瞬間。

いつも身体に、音楽ははじまっていた。

レコードと針の擦れる音。
それは胎内のノイズにとても似ていた。

あれは、なにかにほどこされた奇跡だったのか。

その瞬間、確かに在り
空気に触れて、なにかへ反応を示し

そしてうまれた音楽と日常の乖離間は
実は「とてもたいじでひつようなもの」だったのではないか。

そんなことが。
そんなささやかなことが。

このところ、とても美しく、とても尊く
こころに触れて、ままならない。

ー失くしてゆく時間と情緒に絡まる。

感傷は、希望にちかく
絶望のとなりにそっと在るものだ。

内面にさざなむよしなしごとが
細胞の薄皮をめくるように、
しんじつを暴いてしまう。

私は、気づかずにいられない。
私は、想わずにはいられない。

それは、業のなすことなのか。

いちにちのはじまりに希望がよぎる朝は
敏感すぎる午後を、いつも呼んでしまう。




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